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「多数のわらじ」を履いている?私の、ちょっとだけ息抜きさせてもらえる場所だったり
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・・・彼岸に関係するような『かきもの』を、と思いまして。
でも、挫折しました。
というのは・・・

御題は、こちらのはずでした。
yamahagi.jpg『萩』です。
秋の七草の一つとしても有名で、様々な種類がありますね。
色も多種多様です。

実は秋の花というイメージこそ強いものの、早ければ7月位から咲いてます。


そんなこんなの『萩』ですが、
一応、話の中に此の『萩』は出てくるものの、実際は・・・

DSC01483.JPG『おはぎ』・・・こっちになっちゃったんです。。。
ちなみに、関東タイプの『餡子、黒ゴマ、黄粉』です。

・・・関西で見る『青海苔』・・・作れば出来るんでしょうけれど、すみません。
昔食べて『私は拒絶する』状態になりました。
(育ての母上も、それ以来青海苔タイプは私には食べさせません。)

でも青海苔が嫌いなわけじゃないんです。。。

というわけで、植物御題というよりも・・・番外編に近い今回の『かきもの』
先回同様に食べ物ネタに走ってますね、ごめんなさい。
でも食欲の秋じゃないですか(コラ)。

・・・そして、またしても鉄板なコンビではなくて・・・。

・・・テイストとしては、やはり集団戦です(笑)。
賑やかで穏やかで温かいのが基本的に好きなんです、これでも。

語り手は、「ほのぼの」という単語が護廷十三隊の隊長の中で一番似合いそうな白髪のアノ方。

月日が流れるのは早いけれど、変わらないものもあったり、変わるものもあったり・・・。


『彼岸のデジャヴ』

・・・そう、何十年前の話だったかな。
まだ海燕も都も存命で、朽木も漸く隊に慣れてきた頃だったから、
彼此ざっと50年くらい前の話だ。

その日は彼岸で、墓参りのために休暇を取った隊士たちも多かったんだ。
それでもやはり休めずに出仕する面々がいて。
そんな面々のために、都がおはぎを作って振舞おうと言いはじめたんだ。
・・・俺も参加しようとしたんだけれど、あっさりと都に追い出された。

「おはぎ作っている途中で吐血されても困るし、
それに材料の中に血が混ざったらどうするんですか!!
桜餅じゃあるまいし、ピンク色のおはぎなんて嫌ですよ!!!」

都を先頭に、おはぎを作るために隊士たちが集められ・・・其の中に朽木もいた。
隊の雰囲気に慣れてきたとはいえ、なじめたかどうかというのは別の話だ。
・・・こういう機会に少しでも他の者と親しくなれたら、と思っていた。


「・・・騒々しいな。」

小一時間くらいして、白哉がやってきた。

「悪いな、炊事場で隊士たちがおはぎを作ってるんだよ。」

・・・その時、

「お!!ぼたもち!!!」

隊舎に戻ってきただろう海燕の声が聞こえてきた。

「ちょっと海燕、何いってるの??此れはおはぎよ、ね~?清音、ルキア。」

その言葉に、茶に手を伸ばそうとしていた白哉が・・・一瞬だけ手を止めた。

「あ、そうそう、朽木も手伝わされてんだ。
隊士たちへの差し入れとして、おはぎをつくろうって話になってな。
お前んちじゃ炊事場なんかに立たせないだろうに・・・悪いな。」
「・・・隊の職務としてであれば、私が口を出すことではない。」

「ぼたもちは、牡丹の花が咲く春に作るからぼたもちで、
おはぎは、萩の花が咲く秋に作るからおはぎなの。
・・・だからこれは『おはぎ』。まったくもう海燕は・・・。」
「でも作り方も中身も一緒だろ?おはぎもぼたもちも。なぁ朽木。」
「・・・まぁそうですけれど・・・。」
「もう!!ルキアを困らせないの!!」

炊事場から賑やかな声が聞こえてくるのを、白哉は黙って聴いていた。
が、

「そうだ朽木さん、お家に持ち帰ったら?」
「え?清音殿・・・」
「あら!そうねルキア、こんなに沢山、一生懸命作ったんだもの。
お家に少し持ち帰ったらどう?
ルキアが一生懸命につくったものなら、」

「あ、でもよ・・・お前の兄貴、甘いもん食わねーって聞いたことあるけど・・・。」

海燕の一言に、炊事場の声がしーん、と静まり返った。
・・・黙って聞いていた白哉の眉が、ぴくりと動いた。

「ちょ、ちょっと海」
「・・・存じ上げております。」

その静寂を破ったのは、都の声と・・・朽木の声。

「・・・ですので、屋敷には持ち帰らないつもりです。」
「朽木さん・・・」
「兄様は甘い物を召し上がらないし、そもそも・・・私が作ったようなものを
口にされることなど有り得ませんから。
万が一甘い物を口にされるようなことがあったとしても・・・屋敷には多くの料理人がおりますし、
其の方々が御作りになられる料理のほうが遥かに、」

兄様のお口に合うでしょうから、という消え入りそうな朽木の声が聞こえてきたとき、
・・・すっと白哉は立ち上がっていた。

「浮竹、邪魔をした。隊に戻る。」
「お、おい・・・。」

・・・結局其の年、おはぎは隊の中で全て食べつくされたんだよな。

「・・・なんであんな事を言ったの?海燕」
「アイツの兄貴、此処に来てたんだよ・・・雨乾堂に。
霊圧消していたけれど、僅かながらには分かったからな・・・。」

「まさか・・・わざと朽木隊長に聞こえるように?」
「俺に妙な対抗意識というか、何というか・・・変なモン持ってんだろ?アイツ。
だからわざと俺がああいう風に言えば、逆にその対抗意識が出て意地でも食うんじゃないかと・・・。」

「でも、ルキアの性格考えて言ったの?」
「そこは・・・正直言って、誤算だった。」

「此処ではやっと少しずつ打ち解けてきてくれたけれど、
あの子は・・・あの朽木隊長とは何にも変わってないし、自分では変えることさえ許されないんだから。」

「・・・しっかし、あんな朽木の顔・・・見たくないもんだな。
自分の義妹にあんな顔をさせているっての、アイツ分かってんのかな。」



其の年以来、春の彼岸には牡丹餅、秋の彼岸には御萩を作るのが恒例行事になっていた。
それは都や海燕亡き後も・・・。



「萩の花が見事だな。」
「・・・今年はちょっと遅いくらいじゃないかな。
早いときには文月の終わりくらいから咲くものもあるくらいだ。」

あの時のように、白哉が来ていた。

「・・・騒がしいな。」
あ、今日彼岸だろ?恒例の『おはぎ』作りだ。」
「・・・恒例?」
「そう、都が最初に始めてさ・・・それ以来ずっと春と秋の彼岸には。
ほら、お前もあの時・・・」

白哉は、分かっている、という・・・刺す様な視線をふと俺に向けてきた。
そのとき、

「お!!ぼたもち!!」
「馬っ鹿じゃないの仙太郎!!これは御萩、おーはーぎ!!!!
まったく季節の風情もぶち壊しなんだからこのアゴヒゲ男は!!」
「んだとコラ!!このハナクソ女!!」
「も~お二人とも止めてください!!みんなが驚いてますから~」

朽木が仙太郎と清音の喧嘩を止めに入り、他の隊士たちの笑い声も聞こえてくる。
朽木も慣れたもので・・・今では御萩作成要員の中核?らしい。

「朽木さん、仙太郎に『ぼたもち』と『おはぎ』の違いを教えてあげて頂戴!!」
「え、清音殿、私が・・・ですか??」

そんなやりとりに、静かに・・・あのときと同じように耳を傾けていた白哉。
そのとき、

「そうだ、朽木さん・・・御萩、持ち帰ったら?」
「え?」
「そうだ、家に持ち帰って朽木隊長に食ってもらえばいいや。」
「えええ?」

白哉の動きがぴたり、と止まる・・・。
いや、もともと動いてはいないけれど、空気が止まるというか、そんな感じだ。

「しかし、兄様は甘いものは」
「でも朽木の作ったもんだろ?このハナクソ女が作ったモンならどうかと思うけど」
「何よ仙太郎!!人が一生懸命に作ったものにケチつけようっていうの??」
「だからお二人ともおやめくださいって~!!」

白哉がすっと立ち上がった。
・・・あの時も、そうだったな。

「浮竹、邪魔をした。」
「あ、ああ・・・あのさ白哉」

声を掛けても振り返ること無く、きしりという音を立てることもなく、
白哉は足早に歩を進めていた。
・・・結局隊舎の玄関まで見送ったのだが、

「あのさ、白・・・」
アレに、」
・・・?」

「小さいものであれば・・・屋敷に持ち帰っても別に構わぬ、と伝えておけ。」

「・・・何だ其れ、自分で言えばいいじゃないか。
大体な白哉、其れが人に物を頼むときの言い方か?・・・っておい、」

次の瞬間には、瞬歩を使ったのか、姿は消えていた。
・・・それで義兄が来ていたことを察したのか、朽木が慌てて玄関までやってきた。

「あれ?・・・浮竹隊長・・・先程兄様の霊圧を感じたのですが・・・・」
「たった今、帰ったよ・・・瞬歩で。」
「え・・・そ、そうですか・・・。」

肩を落として俯いた朽木に、不器用な義兄の伝言を教えてやったとき、
最初は信じられないといった表情を見せたが・・・。

「でも、本当にそう仰ったのですが?兄様が。」
「俺が嘘ついてどうするんだ?得な事は何も無いけれどな。
寧ろ黙っていたら俺の身に何か起こりそうだ。」

そう言ってやれば、俺を見上げながら・・・朽木が満面の笑みをみせた。
・・・自分で言えば、此れも自分の目で見られただろうに、全く。

「ほら朽木、持ち帰る分のぼたもち、早く行って取り分けて来い!!みんなに食われちまうぞ。」
浮竹隊長、ぼたもちじゃなくて、『おはぎ』ですよ!!・・・後で浮竹隊長にもお持ちしますね!!」

浮き足立って跳ねるように廊下を走って炊事場に戻っていく朽木。


・・・今度こそ、御萩を食べる羽目になりそうだな。
覚悟しておけよ、白哉。

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おはぎ
検索で「おはぎと…」と入れ始めたら「おはぎとぼたもちの違い」が一番上に出た。
もしかして、みんなこの記事読んで調べてる??
食べる時期が違うだけなんて知らなかったー。
じゃぁさ、お盆におはぎを食べるのは間違ってるの?

子どもの頃、おはぎ作りを手伝おうとして、母親に「お米を半殺しにするんだよ」と言われて意味が分からなかった。。。
半殺し…素敵な響き

今日と明日、あたしは半殺しにされそうな勢いでお仕事
陽向 2010/09/24(Fri)14:21:24 編集
Re:おはぎ
>食べる時期が違うだけなんて知らなかったー。
>じゃぁさ、お盆におはぎを食べるのは間違ってるの?

ウィキペディアで調べたら、春夏秋冬全てで違うお名前が付いてました。
だから夏に頂くのは「おはぎ」ではなくて・・・「夜船」というそうです。
(冬は「北窓」と言うそうな。春と秋は花に見立て、夏と冬は言葉遊びから名前を取ったらしいですよ。)

>子どもの頃、おはぎ作りを手伝おうとして、母親に「お米を半殺しにするんだよ」と言われて意味が分からなかった。。。
>半殺し…素敵な響き

私の「縁のある地方(陽向ちゃんのお隣)」にいた頃、祖母は・・・
『牡丹餅』は皆殺しで漉し餡、『御萩』は半殺しで粒餡・・・といった風に其々作ってました。
ですから、実は私にとっては其々違う食べ物なんですよ
季節だけでなく地方によっても全く違うなんて、ややこしいですね。。。

しかし・・・『半殺し』も凄い言葉ですが、『皆殺し』って・・・
さー  【2010/09/28 01:34】
兄様が絡むと泣けます
夜分に失礼します。
さー坊さんもおはぎは『手作り派』なんですね。
生まれてこのかた、作っているのを見たことも、まして作った経験もないのですよ、私は。
食べ専・・・デス。

近くの古いアーケード街にお寿司屋さん(にぎり寿司はなくて、巻きや稲荷、ちらしが数種とお赤飯だけ)があって、ココの前を通る度おはぎを買ってしまいます。
1個110円と私がお嫁に来て以来変わらぬ値段と素朴な味が気に入っているのです
ですから私には「おはぎ」イコール「秋のお彼岸の頃」というイメージがないんですよ
無粋な人間でスミマセン。

また地域的なものか「ぼた餅」という単語もほとんど使われないんですよ。
ところ変われば・・・というものでしょうか。

『彼岸のデジャヴ』は読みながら目頭が熱くなりました。
不器用な義兄妹の、特に長髪の方が食べ物に絡むと何故か毎回涙なしでENDを迎えられないのです。

今晩は、テンプレートのコスモスの白さがやけに目に染みます・・・

綺麗な後味のお話で、とても気に入りました。
ローガン渡久地 URL 2010/09/25(Sat)01:19:52 編集
それは・・・
>さー坊さんもおはぎは『手作り派』なんですね。

私の場合、祖母が作っているのを傍で見てきましたし、育ての母も一時期作ってくれたことがあったのです。
実の母は粒餡が大嫌いなので(触りたくないから、という理由で)『おはぎ』は作らないのですが、『ぼたもち』は作りますね・・・。
(私の『縁のある地方』では、『ぼたもち』と『おはぎ』には名前以外にも違いがありますので・・・。
やはり、地方や季節によっても、様々な使い分けがあるのでしょうね

>『彼岸のデジャヴ』は読みながら目頭が熱くなりました。
>不器用な義兄妹の、特に長髪の方が食べ物に絡むと何故か毎回涙なしでENDを迎えられないのです。

・・・広く知られた名作における『食べ物』ネタというものは、結構涙を誘うものが多いような気が致します。やはり生命活動の根幹、命に直結するものだからでしょうか?食べ物を分け合うだけで連帯感というか繋がりが生じる不思議もあるような。
(以前流行ったと聞いたことのある『一杯のかけそば』なるお話もまた然り。読んだ事は残念ながら無いのですが、其れも食べ物ネタで泣けるようなお話だと・・・。)
といっても、拙宅の『かきもの』を、そういった感動作と同列にして語るなど言語道断、あってはならぬこと

あ、もしかして・・・今回のローガン様の涙は、拙宅における「甘い物をどうにかして口にさせようというドS丸出しの仕打ち」に対する兄様への同情の涙でしょうか
それならあるかもしれません、うん。。。
(悪友から『あんたの書く兄様は不憫やな、毎回嫌いな甘いモン食べさせられて。』と指摘されたのです・・・。)

純粋さや素直さを欠いてますね、私・・・申し訳御座いません。
まだまだ『落ち』の後遺症はこびりついているようですね。
頑張って復活しなくては
さー  【2010/09/28 02:01】
増やす
お返事書かなきゃいけないコメントを増やしてみる。
しかもわざと

『半殺し』ってさ、1人に対して…ってイメージだけど、『皆殺し』って言われると、その村全部…とかのイメージになるよね。。。

ふーん。
『皆殺し』か…。
素敵
陽向 2010/09/28(Tue)14:17:57 編集
Re:増やす
>お返事書かなきゃいけないコメントを増やしてみる。
>しかもわざと

・・・コメント返信溜め込むと、結構大変です。
なんとなく、思い知りました(苦笑)

>ふーん。
>『皆殺し』か…。
>素敵

・・・これ、普通に何の情報も無く聴いたらぞっとする内容ですよね
誰も『御萩』の作り方とは思いますまい。
でも間違いなく『皆殺し』で『漉し餡』ですからね。。。
(牡丹餅だけれど、拙宅の縁のある地方でいうところの。)

・・・凄い表現で伝えてきたものですね、昔の方って。
さー  【2010/09/29 23:49】
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さー
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女性
職業:
多数?の草鞋履き(最近少し減らしました)
趣味:
読書、音楽弾き聴き、きもの、草いじり、料理、・・・あと、かきものとか。
自己紹介:
諸般の事情から「多数の草鞋」を履くことになってしまった私です。
息抜きとして、日々のことや趣味のことも書けたら良いなと思っています。

☆名前について☆
ここでは“さー”を使っていますが、“さー坊”というのも時折使っております。
(メール送信時は、名字まで付いてます。)
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