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「多数のわらじ」を履いている?私の、ちょっとだけ息抜きさせてもらえる場所だったり
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・・・はい、開き直ってしまって申し訳ございません。
遅れに遅れていたあの方のお誕生日かきものをやっとこさupいたします。

実は、書いたものが何度も消えまして。
何度となく折れました・・・。

しかも、毎年冬になると書きたくなる病に冒されているのか、
今回は「緋ルキ」です。

もう一度言います、「緋ルキ」です。

拙宅では、ルキアさんが愛されていればそれでいいみたいです。
(拙宅設定では、「兄様→→→ルキアさん」であるとしたら、「緋真さん→→(越えられない壁)→→ルキアさん」という状態です。
ルキアさんはみんなに愛されていればいいと思うよ!!)

で、お題はこちら。


紅花です。
実は、今年の朽木家お誕生日かきものは、同じ花を用いて書いてみよう、という計画がございます。
その1本目が、今回のコレです。

では、続きよりご覧ください。


何度も申し上げますが「緋ルキ」ですからね!!






本当にちゃんとご理解いただいた上でお読みください。
宜しいですか????



タイトルはまだ良いものが思いついておりません。
どなたか良い案がございましたら教えてください。



「睦月廿四日の願いごと」


私の部屋には、黒一色で何の装飾も無い箱がある。
年に数回、手入れのために開けることはある。
だが、其れの用途として用いるのは年にたった一度だけだ。

今日は、その箱を開ける日。

箱の中には、同じく黒一色で装飾もない化粧道具が一式。
若干の年季は感じるものの、それは今だ黒塗りの艶が美しいものだった。

その箱の中に、これまた小さな箱が入っている。
同じように、黒塗りの小さな箱。
私は、そっと其れを手に取った。

中にあったのは、今までの黒塗り達からは想像も付かないような彩色。
金色の地に、愛らしい白兎が飛び跳ねる文様の描かれた蛤の殻が一組。
中を開ければ、玉虫色に光る、一面の深緑

紅である。

侍女に用意させていた水をこぼさぬように引き寄せ、そっと紅筆を浸ける。
そっと玉虫色に筆を走らせれば、筆の軌跡を追うように鮮やかな紅の線が走る。

一呼吸置いて、鏡を覗き込んで。
その筆を唇に乗せる。
ふるふると、慣れないせいか、緊張のためか、手が震える。

けれど、

“・・・そうっと、そうっと・・・・”
“そうよ、上手よ。”
“ほうら、可愛いあなたがもっと可愛くなったでしょう?”

そんな声が、聞こえた気がして。
すると私の震えは嘘のように止まるのだ。



「もしも、私の妹が見つかったならば・・・」
「・・・緋真様?」
「あの子に、たくさんのことを教えてあげたい。
あの場所では叶いそうに無いことを叶えてあげたい。」
「それはたとえばどんなことですか?」
「大それたことではないのですが・・・。
・・・一緒にお裁縫をしたり、お話を聞いたり、本を読んだり。
厨をお借りして一緒にお料理したり。
一緒に身に着けるものを選ぶのもきっと楽しいでしょうね。
年頃になったならば、お化粧にもきっと興味を持つでしょうから、一緒にお化粧したり。
きっとあの子には淡い淡い、桜色のような紅が似合うと思うのです。
一緒に選ぶのも楽しいでしょうね・・・・」



鏡に映る私の姿は、かつては姉様を模したものだった。
今は髪を切り、時折少年のようだと云われることもある。
化粧も基本的にはしないので、尚のことであろう。
此ればかりは、化粧への関心が薄いという己の性分もあるので仕方ない。
必要があれば化粧はするが、それも侍女が全て道具を持ってきてくれるので、自分では施さない。

この黒一色の化粧箱を譲り受けたのは、私が処刑を免れた後のこと。
朽木の家の人間が使うものにしては、酷く地味なものだと思った。
きっと此れが姉様の人となり、だったのかもしれない。

だからこそ、あの金色を見つけたときには瞠目した。

だが、私が驚いたのは其れだけではなかった。
使用した形跡が無かった。
勿論、別に姉様が使用したであろう紅も中には入っていて、そちらは使用した形跡があった。
筆で紅を溶かしてみたが、明らかに色合いが異なる。

最初は兄様がそっと忍ばせてくれたのか、とも考えた。
だが、そのような面倒なことをするような方ではない。
今まで頂いたものも、直接拝受したものばかり。
ましてや化粧に疎い私に、進んで化粧を勧めるような方でもない。
余程のことが無ければ、侍女らに任せて女の領分にはあまり口を出さない。

私は、悟ってしまった。

此れは、姉様のためのものではない。
姉様が残した、私のためのものだったのだ、と。



私の部屋には、黒一色で何の装飾も無い箱がある。
年に数回、手入れのために開けることはある。
だが、其れの用途として用いるのは年にたった一度だけだ。

今日は、その箱を開けた日。

筆に含ませた紅を懐紙で拭い、箱へ戻す。
金色の貝殻も、再び丁寧に元の箱に戻し、黒い化粧箱に収める。
そして、再び開かれるときまで其れらはしばしの眠りにつくのだ。

箱を仕舞うと、鏡を再び覗き込む。

其処には、淡い淡い桜色の紅を差した 私 がいる。


「姉様、私は今日、また無事に年を重ねることができました。」

私は、あなたが思い浮かべた通りの生き方はしていないかもしれません。
きっとあなたならば、私のことが心配で仕方ないでしょう。
でも、その反面、きっとあなたならば私のあり方を応援してくれるのではないか、とも思うのです。

だから、今日だけは。

あなたの叶えられなかった願いを、一つだけ、叶えて差し上げたいと思うのです。
私の成長を見ることが叶わなかったあなたに、私が少しずつ成長している姿を見せてあげたい。
いつもは差さない紅をつけて、背伸びしている私の姿を。


「また明日からも、私は私なりに、生きていきます。」


ちなみに、拙宅の母上sは化粧っ気が全く無かったため、
私も化粧っ気なく育ちました。
一緒に化粧したことなんてないです。
(寧ろ愚弟の結婚式で化粧をしている母上sを見て驚いたくらいなので。)

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さー
性別:
女性
職業:
多数?の草鞋履き(最近少し減らしました)
趣味:
読書、音楽弾き聴き、きもの、草いじり、料理、・・・あと、かきものとか。
自己紹介:
諸般の事情から「多数の草鞋」を履くことになってしまった私です。
息抜きとして、日々のことや趣味のことも書けたら良いなと思っています。

☆名前について☆
ここでは“さー”を使っていますが、“さー坊”というのも時折使っております。
(メール送信時は、名字まで付いてます。)
どれでもお好きなものでお呼び下さいませ♪
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