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「多数のわらじ」を履いている?私の、ちょっとだけ息抜きさせてもらえる場所だったり
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ずっとUPできていない恋次御誕生日のかきもの。
とりあえず、3つくらいに分けてupします(長っ!!)

御題は、こちら。
juzudama.jpgジュズダマです。
拙宅地方でも、空き地に以前は沢山生えていたのですが、最近はめっきり見なくなりました。
かなり昔からある植物だそうです(原産ではないそうですが。)

ハトムギとおなじくお茶として飲んだり、また薬効もあるので薬代わりに煎じて飲んでいたそうです。
本当に数珠として使ったかどうかは分かりませんが・・・お手玉などの中身に詰められていたこともあったり。
(私の祖母がそんな風にして遊んでいた、と言っておりました。)


今回のかきもので、ご注意いただきたい点が御座います。
○すみません、話の都合上、恋次を2回死なせてます。
(・・・そうでもしないと恋次がロ●コンになってしまうのでs)
○元ネタは、私の「縁のある地方」の昔話です。
(ラストまでupし終わったあとに詳細は説明いたしますが、分かる人には分かるかも。
ちょっと特殊な紹介のされ方をした話ですし、個人的にはロ●コンだといわれようとも好きな話です。)

・・・一護氏から、「俺の誕生日は短くて、何で恋次の誕生日は長いんだよ」と言われそう。。。
でも君の誕生日は遅刻しすぎなかったじゃないか、そこで許して一護氏・・・。

本当は白ルキでやりたかったのですが、断念しました。
なぜならばこの物語の主人公のキャラと、あまりにも掛け離れていたから。
では誰ならばしっくりくるのかと考えていたら・・・恋次氏がしっくりきたんですね。
なので、御誕生日記念も兼ねて書いてみた、というのがことの真相です。 

タイトルは決まっていないので、仮です。
どなたかいいタイトルの案があったら是非教えてください(結構必死)


「紫彩の娘」

昔々あるところに、恋次という木こりの若者がおりました。
恋次は赤い髪を後ろでしばり、村の若衆の中でも大柄で目立つ男だったけれども、
面倒見の良さもあってか、村の皆から頼りにされていたそうな。
そんな恋次に家族はなく、両親も数年前に流行り病で亡くなったのです。
そんな両親の形見といえば、父親が残した山仕事のための道具と、かつて母親が幼い頃にボロ布で作ったという小さなお手玉が数個だけ。
山仕事に出るときは必ず、恋次は御守りのように、いつも巾着袋に入れたお手玉を持ち歩いていたそうな。
 
あるとき、恋次は山仕事のため、村の家を離れて山小屋に寝泊りしていたときのこと。
合間に一服していると、山間の沢のあたりに、ぼぅっと淡い紫色の光の柱が立ったそうな。
恋次は一瞬驚いたものの、怖いもの見たさもあって、近くに置いてあった鉈を片手に沢へ降りていきました。
そこで恋次が見たのは、紫色の光を微かに纏った、黒ずくめの娘。
「・・・こんな山奥に?刀を持ってるってことは御侍様か?」
娘は意識を失っており、恋次が揺すっても目を覚ましません。
そっと黒衣の娘を抱き上げると、恋次は傍に落ちていた刀を拾いあげ、山小屋に連れてゆきました。

「よぅ、目ェさましたみたいだな。」
娘が目を覚ましたときは既に夕暮れで、恋次は夕餉の支度をしていたそうな。
「・・・貴様、私が見えるのか?」
「は?何言ってんだ?見えるも何も、アンタぶっ倒れていたのを運んだの俺だし。」
「何・・・だと・・・?」
「アンタ、そこの沢でぶっ倒れてたんだよ。足もひねっていたみたいで腫れててな。」
そこで漸く娘は自分の足が腫れていることに気づき、痛みで顔を顰めました。
「ホラ無理すんな。メシももうじきできるから。御侍さんには粗末な食いモンかもしれねーけど。」
すると、娘は憮然とした顔でこう言ったのです。
「侍などではない。私は死神だ。」
「死神?なんだそりゃ。閻魔様のお使いの鬼の仲間か?」
「地獄の者と一緒にするでないわ。貴様らに分かりやすく言えば、我々は亡くなった者の魂をあの世に導く・・・」
「じゃあアレか、仏様のお使いっつーか、天女様みたいなもんか?
・・・でも天女様って言えば、もっとこうひらひらと綺麗な着物を着ていて、羽衣を纏っていて・・・・」
「だから私は死神だと言っておろうが!!」
「ハイハイ分かった分かった。とりあえずメシ食って足治さねーと、死神だろうと天女だろうとどうにも動けねーだろうが。
・・・ったく、助けてやったのによぅ。」
一風変わった黒衣の娘に憮然としながらも、恋次は夕餉の粥を椀に取り分けてやりました。
 
翌日から、恋次が山に仕事に出ている間、娘は一人で山小屋に居るようになりました。
まだ足が治らないため、どうにもこうにも動けなかったのです。
・・・それは娘が本来戻るべき場所にも戻れぬ、ということ。
「暇すぎる。」
昼餉時に山小屋に戻った恋次に娘がそう伝えると、恋次は困ったように唸りました。
「といってもよ、アンタが楽しめるようなものも此処じゃ無いだろうし・・・そうだ、村に連れて行ってやろうか?」
「たわけ者が。私は他の者には見えぬ。貴様に見えているのが不思議なくらいだからな。」
「え、そうなのか?」
「言ったであろう、私は死神だと。」
「いやどう見たってちっこい女の侍だろ・・・いててっ。」
「フン・・・口の利き方に気をつけるんだな、人間風情が。」
「・・・ンだとこの・・・!!」
腫れていないほうの足で脛を蹴られ、ぷいとそっぽを向かれ、流石の恋次も堪忍袋の緒が切れ掛かりました。
が・・・
そっぽを向いたままの姿で、粗末な山小屋の窓から空を見上げている娘の横顔に、言葉を失ったのです。
それは哀しいような、やるせないような、諦めも含んだような表情でした。
そして何よりも、その憂いを帯びた表情がはかなくも健気で優美で・・・村でなぞ見ることのない、初めて見たとでも言うべき美しさだったのです。
「・・・ま、アンタの足が治るまでの辛抱だから我慢しろ。
土間に絵でも描いてりゃ良いし・・・そうだ、此れを貸してやるよ。」
恋次は、いつも身につけている巾着を腰から外すと、中身を床に出して見せました。
「お手玉くらいは、分かるか?」
「ああ、其れくらいは分かる・・・が、何故貴様がおなごの玩具など持ち歩いているのか?」
「いや・・・これはな、俺の母親の形見だ。」
「貴様の、母上の?」
「この山小屋や、山仕事の道具は俺の父親の形見なんだけれどよ、母親の形見っつーとコレしか残って無くてな。
確かに女子どもの玩具だけどよ、形見だからな・・・御守り代わりに持ち歩いていた、ってわけだ。」
「ほう・・・綺麗に縫われておるな。」
「中身は・・・ジュズダマだった気がする。
小豆とか豆とか入れておくこともあるらしいが、母親は煎じて飲めば薬になるからってジュズダマを取っておいたらしい。
確かに豆よりはだいぶ長持ちするが、流行り病には効かなかったんだよな。」
「そうか・・・・」
「とりあえず、それで暇でも紛らわせておけよ。他に暇が潰せそうなモンを仕事がてら見て来てやるからよ。」
 
娘の名前は、本人曰く「ルキア」という名だったそうな。
恋次が「奇妙な名前だな、村じゃ聞いたこともねえ」と言えば、「たわけ者が」と・・・怪我をしていない足で恋次のむこうずねを蹴り上げておりました。
その様なこともあり、恋次は娘を特に名前で呼ぶことはありませんでした。
もっとも、山小屋には二人しか居なかったため、名前で呼ばずとも事足りたのですが。
恋次は山仕事の合間に花を摘んでは土産に持っていってやったり、粥ばかりでは味気なかろうと沢の魚や山の果実を取ってやったりしたそうです。
娘も少しずつ足を動かしながら、山小屋の簡単な掃除をしたり、慣れない手つきで食事の支度をしたりと、恋次に世話になった恩をそれなりに返そうとしたそうな。
もっとも、味付けは恋次が自分で行ったという話だとか。
夜は囲炉裏端で恋次が山仕事の道具を手入れしている横で、娘はわらべ歌のような唄を歌いながらたどたどしい手つきでお手玉をしておりました。
「なあ、それ、何の歌だ?ここらの子どもらが歌っている歌じゃねえし。」
「詠唱だ。」
「エイショウ?」
「我々が死神として任務を遂行するに当たり鬼道を用いるときがある、その際に唱える・・・・」
「ニンム?キドウ?・・・何だソリャ。」
「分からねば理解せずともよい。貴様らのいうところのお経みたいなものであろう。」
「・・・何かエラいモン歌ってんだな。」
何度も失敗しながらもお手玉を続ける娘の姿を、恋次は長い間見つめておりました。
 
娘を沢で助けてから一月ほど経ちました。
足も漸く治って、もうそろそろ戻るべきところへ戻らねばならない時がやってきました。
ですが、恋次は・・・娘の足が治ってきたことを素直に喜べなくなっていたのです。
そう、娘と過ごしたこの一月の間に、恋次は娘に思いを寄せるようになっていたのです。
ですが、恋次は分かっていました。
娘の足が治ってゆくにつれ、娘の内からでる気迫のようなものが、自分のような人間とは本当に異なるものなのだ、と。
おそらく恋次が娘を見つける前に見た紫色の光も、そのような気迫が自分には特別見えてしまったものなのだろうと。
思えば娘が纏っていた黒衣も、佩びていた刀も・・・村や山向こうの町、いやこの辺りの人間は一切身につけないものであって、何もかもが異なることも。
・・・住む世界が、生きる世界が違うのだと。
 
「昔からのおとぎ話だってよ、天女は必ず天に帰っちまうし、まともに添い遂げた話なんて聞いたこと無ぇしな。
でも、二度と会えない天女さんだ、傍に繋ぎとめる羽衣も無ェし、ちょっとは報いたいもんだよな。」
 
そして娘がいよいよ戻るという日の前の晩、恋次は娘に思いを打ち明けたのです。
娘の返事は、恋次が思い描いていたものと同じ。
その返事を聞いて、恋次は笑いました。
「分かっているさ、別にアンタを困らせるつもりで言ったわけじゃねえ。
ただ、アンタといるこの一月の間に、そんな気持ちも持っちまったということを知ってくれたら、それで十分だ。
勿論、本当に一緒にいられたらとも思う、それは嘘じゃねえ。
けどよ、無理強いしてまで一緒にいたいかと言われたら・・・俺は多分、否、というだろうな。」
「貴様は本当に甘い男だ。」
「強がりくらい、分かれっつーの。」
娘はふ・・・と笑うと、恋次にこういいました。
「貴様を縛るつもりは無いが・・・
我々死神と、貴様のような人間とでは、生きている時間の流れが異なる。
とはいえ、我々も不老不死ではなく、寿命や病、怪我で命を終えて生まれ変わることもある。
もっとも再び死神として生まれ変わるか、貴様のように現世の人間として生まれ変わるか、それは分からないが。」
「っつーことは、アンタも人として生まれてくる可能性もあるということか?」
「ああ、そういうことになる。」
「そ、そうしたら・・・・」
「私の言葉を聞いていたか?生きている時間の流れが異なる、と。
私が一つ年を取ったとき、貴様は少なくとも十歳・・・それ以上年を取っておるかもしれぬ。
仮に私が一つ年を取ったときに貴様が十歳年を取るとすれば、私が六つか七つ年を取った時には・・・貴様は腰の曲がった老爺になっておろうな。
私が怪我や病で早々に命を落とせば、さほど時間も掛からずに、貴様と年も離れすぎずに生まれ変わるかもしれぬが、現世に生れ落ちる確証はない。」
恋次は其れを聞いて、黙りこくりました。
この娘が早く人として生まれ変わってくれれば、傍にいられる時間が長くなるかもしれません。
しかし、それは娘に早く死ねと言っているようなものです。
ましてや、人として必ず生まれるという確証はないのです。
「ゆえに、貴様は私のことなど忘れ、人として真っ当に生きるが良い。
貴様の父上が残してくださった仕事道具で働き財を成し、良き連れ合いを見つけ子を成し、やがて子や孫らに囲まれながら・・・その赤髪が白髪になるまで達者に暮らすのが幸せというものだ。
・・・言ったであろう、貴様を縛るつもりはない、と。」
恋次はそれには答えず、娘が遊んでいた形見のお手玉を半分に分け、昨日の晩に縫い上げた小さな巾着袋に入れて差し出しました。
「此れ、持っていけるようなら持っていけよ。」
「だが、此れは貴様の母上の・・・・」
「半分はまだ手元にあるし、お袋も・・・ああやってちゃんとお手玉として遊んで大事にしてくれる奴に持っててもらったほうが嬉しいだろうよ。エイショウ?とかいう変な歌に合わせてでもな。
アンタの言葉が俺を縛ることなんか出来ねぇように、コレだってアンタを縛る事は出来ねぇし縛るつもりも無ェから安心しな。」
「・・・貴様という奴は・・・・」
「そう、縛ることなんか・・・・」
(アンタを縛ることもできねーけど、アンタの言う、人としての幸せっつーモンが俺を縛ることもできやしねえんだ。)
 
翌日、恋次の目の前で、娘の体はすぅっと溶けていきました。
其の場には以前見た淡い紫の光の柱が立ち・・・やがて光は空を昇り、虹のような大きな弧を描き、はるか向こうへ。
恋次は、日の出の光が娘の痕跡をかき消すまで、ぼうっと其の場に立ち尽くしていました。
 
それから恋次は真面目に働き続け、村の皆から「親方」として更に頼りにされるようになりました。
弟子らやその子どもらを自分の子や孫のように可愛がりましたが、恋次自身は一切嫁取りをすることもなく、村の皆が心配して縁談を持ちかけても一切耳を貸さなかったといいます。
住まいも村の中には設けず、山の入口に設けたといいます。
幸いにも病気一つせず、また大きな怪我もなく、がっしりとした体格は年老いてからも健在で、ほぼ毎日のように山仕事を続けたそうです。
・・・そして、沢山の弟子やその子どもら、孫弟子らに囲まれて、恋次は現世の人間としての生涯を終えたのです。
たった一人の、「ルキア」という名の娘のことだけを胸の奥にそっと思い続けながら。



続きは、恋次が所謂「あの世」に行ったあとの話です。

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さー
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女性
職業:
多数?の草鞋履き(最近少し減らしました)
趣味:
読書、音楽弾き聴き、きもの、草いじり、料理、・・・あと、かきものとか。
自己紹介:
諸般の事情から「多数の草鞋」を履くことになってしまった私です。
息抜きとして、日々のことや趣味のことも書けたら良いなと思っています。

☆名前について☆
ここでは“さー”を使っていますが、“さー坊”というのも時折使っております。
(メール送信時は、名字まで付いてます。)
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