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「多数のわらじ」を履いている?私の、ちょっとだけ息抜きさせてもらえる場所だったり
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ぶっつけですが、リハビリでかきものを一つ投下させていただきます。
まだまだ本調子ではないのですが・・・。
(精神的にはおちておらず、もっぱら肉体的に堪えているという感じです。
今年の風邪は結構長引くようですので、皆様も是非ご注意くださいませ。)

今回のお題は、こちら。

チューリップ、です。和名は「鬱金香」(うこんこう)。
毎度おなじみの春の花ですが、拙宅ではかきものをしたことがございませんでした。
今回は、以前ちらっとリクエスト?を受けましたシチュエーションですが、思いっきり鬱展開です。
(拙宅ではタブーの一つであろう思われる、所謂「死ネタ」となっております。
死ネタ回避を図ろうとも思ったのですが、どうにもならなかったのでそのまま今回は掲載いたします。
苦手な方はご注意ください。)

・・・ここまでをお読みいただき、「もしやあのネタをベースにしたのか?」とお気づきの方、まさにその通りです。有名ですからきっと直ぐにお気づきになられる方も多いでしょう。
ただ、ちょっと改変されていて・・・別の植物にまつわるエピソードもちょっと混ざっております。

・・・思われて、求められても、答えることが出来ない。ならば・・・・

ベースはギリシャ神話や世界各地の伝承で有名なチューリップのお話。
某ウィキ●ディア先生にも載っているお話なので、ご存知の方も多いだろうと。


「答える術を持たぬゆえ」

昔々、瀞霊廷に住まう一人の少女がおりました。
彼女は幼い頃に五本の指に入るだろうと云われる大貴族に養子として迎えられ、それは大切に育てられました。
本来であれば貴族のお姫様となったのですから、他のお姫様のように屋敷で優雅に暮らしていてもおかしくは無かったのですが、彼女はちょっと違っておりました。
彼女の夢は、死神になることだったのです。

後に死神となった彼女は、それはもう他の死神でさえも音を上げそうな辛い訓練にも耐え、また危険な任務であろうと自ら率先して参加しました。
其処には「お姫様」な彼女は居らず、一人の死神としての姿しかありませんでした。
彼女はその事を誇りにしていましたし、自分の夢を叶えられたことに満足をしていたのです。

しかし、そのような彼女に、全く違った視線を向ける者達が居りました。
それは彼女に対する僻みや嫉妬ではありませんでした。
そのようなものであれば、彼女は養子として引き取られてから今までも散々浴びせられてきたものですし、今までもそれらを自分の力を以って封じてきたのです。
それ故に、今までとは違う自分へのまなざしに、彼女は酷く困惑してしまったのです。

ある者は、養子として引き取られる前に共に過ごした幼馴染。
同じように死神として共に戦う仲間だと思っていました。
ですが、自分の剣を彼女に掲げながら言ったのです。
「俺とお前じゃ、今は身分違いだって事くらい分かってんだ。
けど俺はもっと強くなって、お前に相応しい地位も力も手に入れる。
だからそのときは、俺と一緒になってくれ。」

またある者は、現世に派遣されたときに知り合った少年。
自らの力を分け与える事によってその才能を開花させた存在でした。
「オマエってさ、現世で着ていた黄色いワンピースのほうが似合うよな。
これから死神代行としても、現世での人間としても一人前になっていくからさ、
そうなったら、こっちで一緒に暮らさねえか?
そうしたら、黄色いワンピースだけじゃなくてもっと似合う現世の服も綺麗なものも買ってやるから。」

そしてまたある者は、よりによって彼女を育て上げた大貴族である義理の兄。
一時は意思疎通も侭ならず辛い思いをしたこともありますが、今では死神としても信頼できる存在でした。
「私は、お前にならば、私の持つこの地位も財も全て預け委ねることが出来よう。
ただ、お前を他所者に呉れてやるような事になれば、それも叶うまい。」
(分かりづらいですが、つまりは「何処にも誰にもやるつもりは無い」ということです。)

さすがの彼女も、この三人は無碍にも出来ません。
それぞれが共に苦楽を分かち合い、乗り越えてきた大事な存在であり、仲間なのです。
この三人の中から伴侶となる存在を選べと言われても、それはとても難しいものです。
ですが、何よりも彼女が望んだのは・・・

『私が望むのは、ただ・・・・』

瀞霊廷に、悲しい知らせが飛び交ったのはそれからしばらくしてのことでした。
流魂街の外れに出現した虚との戦いの中で、彼女は命を落としたのです。
幼い子どもを守って負った怪我が元だったとも、半ば自棄になって虚に切りかかっていったことが原因だとも言われましたが、最終的には虚との相打ちとなったそうです。

その知らせを最初に聞かされた義理の兄は黙って其れを聞いていました。
彼女の幼馴染は只管に呆然となり、現世での仲間は信じられねぇと叫びました。

彼女の小さな亡骸は、育った屋敷へと運ばれました。
その顔は、どこか清々しく、穏やかなものだったといいます。
「あの子は自分の生きたいように生き、そして死んだんだ。」
彼女の良き理解者でもあり、彼女の上官だった死神はそう言います。
「あの子は、最後まで・・・一人の死神としてあり続けたかった、ただそれだけだった。
他の何者でもない、それだけだったんだよ。」
・・・三人は、彼女を知らずに追い詰めていたことに気づいたのです。

『自分には三人の思いに対する回答を用意することは出来ない。
けれども三人とも、自分の答えを今か今かと待っている。
私は・・・どうすればいいのだ?』


彼女が手厚く弔われてから、どのくらいの月日が経ったでしょうか。
定期的に彼女の眠る墓の手入れに来ていた者が、墓の傍に愛らしい花が咲いていることに気づきました。
黄色い上向きの花が一輪、葉は始解前の斬魄刀のように鋭く、屋敷に持ち帰るためにそっと掘り起こすと、土の下には黄金色をした豊かに丸々とした球根が。
まるで彼女に対し三人がそれぞれ捧げようとしたものを象徴するかのような姿でした。
そのことに気づいたのでしょうか、屋敷でそれを目にした彼女の義兄は、一目見るとこう言ったそうです。
「・・・一人を選べぬが故、死して花と化し皆に答えたか。」



黄色のチューリップの花言葉は「名声」「実らぬ恋、望みの無い恋」
ルキアさんといえば紫だろう、とも思ったのですが、どうしても黄色を使いたかったのですよ。
それで、そういえば現世に居た頃は黄色のワンピースを着ていて、結構似合っていたな・・・ということを思い出しまして。
「名声」は、黄色でも「モンテカルロ」という品種特有のものだそうですが、名誉や死神としての誇りと共に散った彼女にはコレも合うかな、と。
白背景になったら黄色の文字だと読みにくいかもしれませんが、何卒ご容赦を。。。

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さー
性別:
女性
職業:
多数?の草鞋履き(最近少し減らしました)
趣味:
読書、音楽弾き聴き、きもの、草いじり、料理、・・・あと、かきものとか。
自己紹介:
諸般の事情から「多数の草鞋」を履くことになってしまった私です。
息抜きとして、日々のことや趣味のことも書けたら良いなと思っています。

☆名前について☆
ここでは“さー”を使っていますが、“さー坊”というのも時折使っております。
(メール送信時は、名字まで付いてます。)
どれでもお好きなものでお呼び下さいませ♪
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