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「多数のわらじ」を履いている?私の、ちょっとだけ息抜きさせてもらえる場所だったり
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先回の続きです。
相変わらずこの植物で。
juzudama.jpg
あまり生かせていないというのは承知しておりますが・・・。
いや、このジュズダマの花言葉がですね、結構グッとくるものでして。
正直言って地味な植物ですが、強いですよね・・・。

さて、人間としての天寿を全うした恋次氏。
「あの世」に来てからも相変わらずの性格ですし、相変わらずの生活をしております。
・・・彼の大事な人には会えるのでしょうか?
そして覚えていてくれているでしょうか、気づいてくれるのでしょうか。

※先回に引き続き、注意事項を。
○恋次氏が2回死にます、すみません。
(元ネタを忠実に再現すると、恋次氏がロ●コンになってしまうので。)
○元ネタは、私の「縁のある地方」の昔話です。
(あまり知られていないけれど、個人的には好きな話です。
「縁のある地方」だって、「蔓の恩返し」や「雪女」みたいな切ない話ばかりじゃないんだよ・・・・)
○(今回追加の注意事項)お気づきかと思いますが、昔話を基にした「パラレル」なお話です。
(なので死神とか色々出てきますが、あくまでもぶりーち本編とは舞台を別にした話だと思ってください。)

ちゃんと書きあがるのかな・・・。

先回は、恋次が天寿を全うしたところで終わりました。
今回は所謂「あの世」・・・昔むかしに恋次が思いを寄せたあの死神が住まう世界です。
でも恋次は天寿を全うしているので・・・白髪のおじいさんの姿。
再会できるのか、気づいてくれるのか、覚えていてくれるのか・・・・
(そして例によってタイトルは仮です)


「紫彩の娘」(2)


 「いやぁ、恋次じいさんがいてくれると助かるなぁ。」
「この辺はさほど貧しい地域ではないらしいが、かといって豊かでもないからな。
大工仕事や山仕事のウデのいい恋次爺ちゃんがいて助かるよ。」
 
恋次は年老いた白髪姿のまま、所謂「あの世」に来ておりました。
そこで死神と呼ばれる存在に、次の転生までの間住まう地域を割り当てられ、その場所へやってきました。
そこは以前暮らしていた村のように山や林が多く、貧しくは無いものの豊かでもなく、治安も良くも悪くもない、といった場所でした。
恋次は年老いてから亡くなったものの、此処では生前よりも体が自由に動くのでしょうか、山での暮らしに慣れていない者に対し、率先して知恵や技を教えていたのです。
また子どもたちには、山に生っている実で食べられるものとそうでは無いものを教え、遊び道具の造り方も教えてやりました。
生前「御守り」として身につけていたお手玉は・・・形見として弟子の娘に譲り渡されたので、一緒に持ってくる事は出来なかったものの・・・作り方は覚えていたので、子どもらと一緒にジュズダマや豆を用意し、作り方を教えてやったりしました。
最初はちょっと柄の悪い老爺に見えたようですが、そんなこともあり、次第に同じ地区に住まう者から「恋次爺さん」と慕われるようになっていました
 
恋次は地区の中心から少し外れた山小屋のような場所で、一人で暮らしておりました。
この「あの世」では、地区に住む者同士肩を寄せ合い、血の繋がりが無くとも家族のように暮らすのが当たり前となっておりましたので、皆が心配していました。
ある者は恋次に一緒に住まうように勧め、ある者はせめて地区の中心に住んだらどうかと勧めました。
しかし、「ありがとよ」というものの、いっこうに恋次は首を縦に振りません。
何か理由があるのだろうか、と・・・村の者が恋次に尋ねました。
「俺が現世で生きている頃にな・・・まだお前さんよりも若い頃だ。
今みたいに山仕事をしているときにな、死神の娘を助けたんだ。」
恋次の語る話に、皆首をかしげておりました。
というのも、彼らにとって死神というものは、「あの世」の中心に住まい、衣食住に困らない裕福な暮らしをしながら、時折近くに出没する「虚」と呼ばれる化物(といっても、恋次らと同じ魂ではあるのですが)を退治する・・・だけの存在という認識しかないのです。
または、かつて此処に振り分けられて来たときのように、此処にたどり着いてからの決まりなどを案内したりする、程度の存在という認識でした。
死神側の接し方にも原因があるのでしょうか、いずれにせよあまり良い印象を抱いていなかったのです。
ですが、恋次の語る死神の娘の姿は、言葉と態度はきついものの、普通にその地区にも居そうな年頃の娘と何ら変わらないものだったのです。
そして、言葉の端々から・・・皆は悟っておりました。
今でも恋次爺さんは、その死神の娘を大事に思っているのだと。
「あの娘が無事でいてくれたら、もう少し成長して立派な死神になっているだろうし、足をくじくようなヘマもしねぇようになってんだろうな。」
「でも、その死神と暮らせるわけじゃないだろう?恋次爺ちゃん。」
「ああ、分かってる。
でもな、もしも会えたら・・・たまに来てくれたりしたら其れだけでも嬉しいし、かといってその時に、この地区の皆にな、死神が来たからって緊張してほしくねぇのよ、俺は。
そんでもって、あの娘にも・・・アイツは口もきついし態度もでかかったけどよ、何だかんだで人のことをよーく見ている奴だったからな、きっと皆があまり死神を快く思っていないことも伝わると思うんだ。
だから・・・お互いにあまり気にせずに居られるように、って思ったわけだ。」
「・・・忘れているかもしれないぞ。」
「それならそれで構わねぇよ。
アイツも俺に『忘れろ』って言ったんだ・・・それを後生大事に忘れることもできねえで、仕舞いには死んでこうやって「あの世」に来てからも忘れねぇ俺が馬鹿なだけだからな。
ただな、俺がこうしてあの娘のことを覚えていられるうちは、あの娘に何時会ってもいいようにしていてェだけなんだ。
・・・あの頃と比べたら白髪頭の爺さんになっちまったけどよ。」
そうやって笑う恋次に、皆は何も言えませんでした。
それ以降、無理に恋次を地区の中心に住まわせようともしませんでした。
「恋次じいさんの好きにさせてやるべきだ」と皆が思ったのです。
 
それはある年の冬のことでした。
地区の中心に虚が現れたのです。しかも三体も。
皆は逃げ惑い、あるものは傷つき、あるものは腰が抜けて動けなくなりました。
恋次は小屋の中の山仕事用の鉈を持ち出し、一人・・・虚に向かってゆきました。
・・・それは生前の、若い頃の・・・皆から親方として慕われた頃の恋次そのものでした。
一度は村を襲った熊を鉈で撃退したこともあった彼ですから、無我夢中だったのでしょう。
「この村のモンに手ェだすんじゃねえええっ!!!」
一体の虚の背後に切り付けましたが、別の虚によって跳ね除けられました。
地面に強く叩きつけられた恋次の目の前で、幼い子どもが一人・・・虚に捕まってしまいました。
「馬鹿!!何故皆と一緒に逃げねえんだ!!」
何とか己を叱咤して立ち上がり、両手で鉈を振り上げながら再び虚に切りかかります。
子どもを捕まえていた虚の腕めがけて鉈を振り下ろし、子どもを放させることには成功しましたが・・・再び跳ね除けられ、地べたに伏したまま立ち上がることが出来なくなってしまいました。
「逃げろ!!俺に構わず山へ逃げろ!!」
子どもを逃がしてしまった虚たちは、三体ともとどめを刺そうと、その攻撃の矛先を恋次に向けたのです。
 
「-破道の三十三、蒼火墜」
そのとき、懐かしい声と共に、光か炎か分からない何かのために、恋次の目がくらみました。
しばらくすると・・・目に入ってきたのは、地面に伏す虚の姿と、遠い記憶の中の、小さな侍の後姿。
此方を振り返った、その面差しは・・・多少は成長したものの、あの頃と変わりないものでした。
「巨大虚三体に・・・鉈で応戦するなど、無謀にも程がある。」
「アンタは・・・・」
「・・・熊とは、話が違うのだぞ。」
そのとき、虚の一体が・・・最後の悪あがきと言わんばかりに、背中を見せていた娘に向かって攻撃を仕掛けたのです。
「・・・っ!!!」
「ルキア!!!!」
・・・恋次は娘を庇って虚の一撃を諸に喰らってしまいました。
 
「たわけ者が・・・」
「泣くなよ・・・」
娘は三体の虚を倒し、更に騒ぎに乗じて出現した他の虚二体も倒しました。
恋次の元へ駆けつけたものの、娘を庇った恋次は手の施しようが最早無い状態でした。
山から恐る恐る下りてきた地区の皆も、その有様に慌てて恋次と娘の傍に駆け寄りました。
「おい、死神・・・恋次じいさんはどうなっちまうんだよ。」
「恋次爺さんを助けてくれよ!!」
「・・・手遅れだ・・・急所をやられている・・・四番隊の救援も間に合わないだろう・・・・」
「そんな!!・・・」
「おい死神!!恋次じいさんを見殺しにするのか!!!」
次第に、死神である娘をなじるような、責めるような声が皆から上がりはじめました。
「テメェら、いい加減にしろ・・・瀞霊廷から此処までどれだけの距離があると思ってんだ・・・。」
恋次の静かな声が、彼らの声を止めました。
・・・恋次は穏やかな目で、娘をじっと見つめました。
「また、会えたな・・・変わらないな、アンタは。」
「貴様は・・・白髪の老爺になりおって・・・・」
「そりゃ、寿命まで生きちまったからな・・・・」
「でも、変わらぬな。昔と、貴様は変わらぬな・・・無茶をしおって・・・・」
娘の目から、先ほどからずっと流れ続けている涙が止まりません。
其れを、力のない手で恋次はそっとぬぐってやりました。
・・・涙をこぼす死神の姿を見て、皆はこの死神こそが恋次じいさんの待ち焦がれていた死神だと気づいたのです。
そして、そんな死神が涙を零していることで、助けないのではなく、助けたくても助けられないことを悟り、皆は黙って二人を見守ることしかできませんでした。
「せっかく会えたのによ・・・俺はまた、アンタとお別れだな。」
「・・・・」
「生きてるときも、ここに来るときにも、ずっとアンタのこと忘れなかったけど・・・今度は覚えてられるかな。
・・・また、覚えていてぇな・・・アンタに会いてぇな・・・忘れたくねぇな・・・・」
意識の混濁し始めた恋次に向かい、娘は意を決したように呼びかけました。
「恋次、ありとあらゆることを忘れても構わぬから、この眉と目の色は忘れてくれるな。
記憶の奥底に刻み付けてでも忘れてくれるな。
今と同じ名を名乗るとも限らぬし、私の特徴と言ったら、この眉と目と、貧相な姿くらいだけれども・・・決して忘れてくれるな!!」
「もう、俺に・・・忘れろ・・・とは言わねぇんだな・・・。」
娘は懐から巾着を出すと、何かを取り出し、恋次の手に持たせました。
「・・・貴様に持たされたジュズダマのお手玉だ・・・・」
「・・・まだ・・・持ってたのか・・・・」
「忘れられなかったのだ・・・貴様に忘れろと言っておきながら・・・ずっと・・・・」
「ハハ・・・嬉しいもんだな・・・・」
「だから、もう・・・貴様も忘れてくれるな。
何度生まれ変わっても・・・いつか私も貴様を追ってゆくから、」
 
-ああ、記憶の奥底に刻み付けてでも忘れねぇよ・・・ルキア・・・・



さて、コレで恋次氏が2回目の死を迎えることになってしまいました。。。
今度の生で、彼は再会できるのでしょうか?

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女性
職業:
多数?の草鞋履き(最近少し減らしました)
趣味:
読書、音楽弾き聴き、きもの、草いじり、料理、・・・あと、かきものとか。
自己紹介:
諸般の事情から「多数の草鞋」を履くことになってしまった私です。
息抜きとして、日々のことや趣味のことも書けたら良いなと思っています。

☆名前について☆
ここでは“さー”を使っていますが、“さー坊”というのも時折使っております。
(メール送信時は、名字まで付いてます。)
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