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「多数のわらじ」を履いている?私の、ちょっとだけ息抜きさせてもらえる場所だったり
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長かった・・・でも此れでラストです。
ジュズダマがメイン植物ですが、希薄化されてますね。

注意事項は今までと同じで、今回もちょっとショッキングな表現があります。
(別名、『最後の仕上げ』ともいう・・・)
苦手な方はご注意下さい。
(どうせ拙宅は鬱々としたものはかけないので、最終的には事態好転のキーになってるんだな、と思っていただければ・・・)

さて、二人はどうなってしまうのか・・・・


後程、別記事にて此れの元ネタの話をさせていただきます。
(なぜならば長くなりすぎてしまったので。)
そして其の後は・・・拙宅の3周年記念リクエストに取り掛かることにします。

でも、今年のはやけにハードルが高いような気がします。。。

紫彩の娘(終) 

るきの顔の包帯が、恋次の目の前で外されました。
「・・・るき、」
恋次に呼びかけられ、恐る恐る目を開けたるきの目に飛び込んできたのは、久々にみる恋次の穏やかな顔でした。
「・・・俺が想像したよりも、ずっと綺麗に治ってんぞ、るき。」
卯ノ花先生は、るきに手鏡を渡しました。
「先生・・・私の顔・・・・」
其処には、肌が少し黒いままで、顔のあちらこちらに火ぶくれ跡のカサブタの残った・・・けれども大きな紫の目が特徴の・・・るきだと判別できる顔でした。
「あとは、少しずつ日頃の生活の中で・・・肌をいたわってあげてください。
無理してカサブタははがさずに、ゆっくり自然に落ちるのを待ってくださいね。それが一番痕を残さずに済む方法ですから。
引き攣れないように、少しずつ優しく揉むのは良いことだと思いますよ?」
恋次は卯ノ花先生に何度も礼を言いました・・・それはもう先生が「いい加減になさい」と穏やかに怒り出すまで。
勿論、先生も本気で怒ったわけではありませんでしたが。
その日の翌日から、るきは清音に連れられて女衆の待つ厨へ向かい、皆に迎えられました。
春の彼岸の準備をしていた皆は口々に「良かったねぇ」「痕があまり残らなくて済みそう?」と、るきを再び温かく迎えてくれました。
 
恋次は、今まで以上に念入りに、そして優しくるきの顔を拭ってやるようになりました。
「痛かったり染みたりしたら言えよ?これで傷ついて痕になっちまったら大変だからな。」
「・・・恋次、貴様は何時まで私の顔を拭うつもりだ?」
恋次はその問いかけに、手を止めました。
「考えたこと、ねえな。」
「は?」
「・・・俺は元々、煤を塗り込められて黒くなったお前の顔を白くするために始めて、期限は設けたけど、それはるきが実家に帰ると言ったから、だったんだよな。」
「そうだったな・・・・」
「けど、俺自身は・・・るきが残ってくれんだったら何時までも構わなかったし、千回煤が塗られたんだったら其の倍拭ってでも煤を取ってやりたい、って・・・お前にそう言ったはずだ。
このままるきが此処にいてくれるんだったら、肌にいいっつーし、俺はずっとで構わねえよ。
それは今でも変わりゃしねぇ。」
「このまま真っ黒でも、痕が残ったままでも・・・か?良くなることもなく。」
「ああ。」
「そしてそのまま私が年老いてもか?」
「構わねえよ。其の頃には俺もしわくちゃで目も当てらんねぇ白髪のじいさんになってんだろうけどな。」
ハハハ、と恋次は笑いました。
「そうなるまで一緒にいられんなら、ずっと拭ってやらぁ。」
「・・・たわけが。」
るきの中にはもう、桜が咲き始めようとも・・・実家に帰ろうという思いはありませんでした。
 
卯月に入り、るきは顔に異変があることに気づきました。
卯ノ花先生の許へ駆け込むと、先生は驚いたようにるきの顔を見つめました。
「もしかしたら・・・るきさん、顔全体の皮がはがれ始めているのかもしれません。」
「そ、そんなことになったら私のっぺらぼうになってしまうのでは・・・・」
「大丈夫ですよ。もともと水ぶくれになってかさぶたに変わった部分以外でも、熱に中てられて皮膚が傷んでいたのでしょう。
それが剥がれ落ちて、健康な皮膚が再生されようとしているのでしょうから。
ただ、恋次さんには・・・布で拭うのはやめるようにお伝えしてくださいね。
勿論、顔を洗っても平気ですし、其のあとは押さえるようにして煎じ汁を拭き取るのは大丈夫です。」
家に帰ってから、山仕事から戻ってきた恋次に事の次第と卯ノ花先生からの伝言を伝えました。
「そっか・・・それだったら、先生の言うとおりにしねえと。」
恋次はるきに自分で煎じ汁で顔を洗わせた後で、そっと柔らかな布でこすらないように押さえて水気を取りました。
「・・・何だかむずがゆいような気もするのだが。」
「ああ、俺もすっ転んで出来たカサブタがはがれるときとか、日焼けして皮が捲れたときとか、結構痒かったからな・・・きっと皮がちゃんと再生されてきてるってこった。
痒いかも知れねえけど、無理にはがすんじゃねぇぞ。」
「・・・分かった。」
恋次とるきは、それからも卯ノ花先生の言いつけを護り、こすったり無理にはがそうとしないように気をつけながら顔を洗ってゆきました。
自然とはがれた皮やカサブタのあとは、最初の頃こそ治りかけの傷跡のような鮮やかな桃色でしたが、次第にるきの手足のような白色になっていきました。
それに気づいた二人は手を取り合って喜びましたが、無理にはがして傷跡が残っては今までの苦労が水の泡となってしまうため・・・今まで以上に慎重になりました。
少しずつ少しずつ、自然にはがれるのを待ちました。
 
るきの顔に残ったカサブタも、額や眉の部分だけとなりました。
頬や目の周りなど、あらかたの部分は痕を残すことなく綺麗に傷んだ皮膚やカサブタがはがれたようで、その後には元の色だったであろう白い肌が現れました。
「るき・・・お前にとっちゃとんだ災難だったかもしれねえけど、結果的には・・・元の顔に戻れそうだな。」
「・・・だといいが・・・。」
「もう少しだな。あとその額や眉の辺りまで覆っている大きなかさぶたや爛れた皮膚が綺麗にはがれてくれれば・・・。」
るきはいつものようにジュズダマの煎じ汁で顔を洗い、恋次から柔らかな布を手渡され、顔を押さえました。
「いっ・・・・」
そのとき、るきは妙な呻き声を上げ、動かなくなりました。
「るき、大丈夫か??先生を呼ぶか??」
「だ、大丈夫だ・・・構うな、」
「そんなんで大丈夫なわけねえだろ、直ぐ先生を呼んでくっからな!!」
恋次はるきの静止を振り切り、卯ノ花先生を呼びに行きました。
先生も直ぐにやってきてくださり、るきの様子を見てくださったそうな。
「・・・強く押さえたり、拭いたりされましたか?」
「いえ、先生の言いつけどおり・・・優しく洗って、そっと押さえるだけにしておりました。」
「そうですか・・・
無理やりはがそうとしたわけでは無いのでしょうけれど、るきさんの眉と額を覆っていた大きなかさぶたが、一気に剥がれ落ちたのですよ。
・・・痛かったでしょう?」
「・・・はい・・・・」
傍で聞いている恋次の顔が一番痛そうで、卯ノ花先生とるきは思わず笑ってしまいました。
「でも血は出ていないので・・・ちょっと熱を持つかもしれませんから、例の沁みる薬を塗って、保護しましょうか・・・。」
「分かりました。」
「でもるきさん、火傷を負ったばかりの頃と比べたら健康な皮膚が出てきているのですから、格段に沁みないはずですよ。」
卯ノ花先生はるきの瞼から上に薬を塗り、そこを鉢巻を巻くかのように包帯で覆ってゆきました。
それから、顔のところどころにまだ残る、かさぶたや皮膚がはがれたばかりで赤みが残る場所にも塗ってゆきました。
「そうですね・・・3日経ったら外しても構いませんよ。
その時に特に私が立ち会う必要はありませんが、何か様子がおかしかったら呼んでくださいね。」
「あ、有難うございました!!」
 
恋次は卯ノ花先生を村の中心にある診療所まで送ってゆくことになりました。
その道すがら、
「恋次さん、るきさんの怪我のことで・・・」
「何でしょうか。」
「今日はとりあえず腫れないように、炎症を止める薬を塗りました。
それは3日程度は十分に効き目があるので、何も問題がなければ包帯を外して頂いても構いませんし、薬を洗い流して頂いても大丈夫なのです。
ですが・・・・」
「ですが、なんですか?」
卯ノ花先生はため息を一つ付くと、恋次の顔を見上げました。
それは先ほどのるきの前での先生の姿とは違い、何かを思いつめ、憂える表情でした。
「先生、るきにはまだ何か・・・・」
先生は、往診のための行李を肩から下ろすと、一番上に乗せていた小さな布を広げました。
恋次は思わず「うげっ・・・」と言って、顔を背けました。
「先ほどの、るきさんから剥がれ落ちたかさぶたです。
勿論、血は出ていませんし、綺麗な皮膚が再生されたがゆえにはがれたのです。」
「まあ、そうでしょうけれど・・・・」
正直、はがれたかさぶた、しかも手のひらくらい大きなかさぶたを見るのは、生々しすぎていい気分では無いもの。
「問題は、此処。」
そっと触れぬように卯の花先生が指差した箇所を恋次は提灯の明かりを近づけて見入りました。
「・・・これは、丁度・・・るきさんの眉尻あたりの毛です。こちらが右、こちらが左でしょうか。
眉頭に近いところの毛がない、ということは・・・眉頭の部分の眉は残っているわけです。
ですが、ここに眉尻側の毛がくっついているということは・・・るきさんの眉は、半分失われた可能性がある、ということです。」
「眉毛・・・?」
「薬を塗って包帯を巻く前に見たのは、一昔前の、貴族のような小さな眉、のような感じでしょうか。
もっとも・・・私も色々と修行のために各地を回りましたが、地域によっては女性は全て眉をそり落とすこともありましたから、別に半分眉毛がなくなってしまったからと言っておかしなことでは無いでしょうし、命に関わるわけでもありません。
ただ、るきさんが気になさったら・・・と思うと、それが気がかりですね。
ここまでしっかりと抜け落ちている、ということは・・・今後生えてこない可能性もあります。」
恋次は、ふぅ・・・とため息を一つつきました。
「命に関わらねえのなら、それでいいです。
それこそ、るきが眉毛なくなっちまって、気にするんだったら・・・今度は眉だけ煤で書いてやりますから。
もともと真っ黒で眉も何も、何処にあるのか分からねぇ状態だったんすからね。」
流石に俺の腕みたいに刺青で眉を書くのはやりすぎだろうけど、と恋次が言えば、卯ノ花先生も漸く笑いました。
「貴方方なら、大丈夫でしょうね。」
 
そして3日後・・・・
恋次は珍しく山仕事が早く終わったので、日の高いうちに戻ってきました。
「なんだ恋次、早かったではないか。」
「おぅ、仕事も早くケリがついたし、その額の具合も気になったからな。」
「ああ、此れか。」
「傷むか?」
「いや、特に痛みなどせぬ。
卯ノ花先生のあの薬は、塗った直後は激しい痛みを伴うが・・・薬が浸透してからは嘘のように痛みが引くのだ。」
「じゃ、包帯を取るか。」
「では水を持ってくる。軟膏なので綺麗に拭きとらねばならぬからな。」
「ついでに煎じ汁で顔も洗うか?」
「ああ。」
るきは水を汲みに行き、恋次は煎じ汁を用意しました。
それから包帯を丁寧に取り去り、るきは顔を洗って大方の薬を洗い流しました。
恋次はジュズダマの煎じ汁で改めてるきの顔を丁寧に洗ってやり、押さえるようにして柔らかな布で顔を拭ってやりました。
「さて、出来たぞ、る・・・」
「・・・どうしたのだ恋次、額に酷い痕が残ってしまったか・・・?」
「いや、そうじゃねえ・・・」
 
恋次が目にしていたのは、
真っ白で白雪のような肌で、眉毛が半分しかない、紫の大きな瞳を持った黒髪の娘。
どくん、と自分の心臓が胸を強く打つのを恋次は感じました。
そして、腹の底・・・というよりも、胸の奥の奥の奥底から沸きあがるような、懐かしくもかあっと熱を持った、不思議なものも。
そんな恋次の様子を気に留めず、るきは卯ノ花先生から借りていた鏡を見て、はぁ、とため息を一つ。
「・・・眉毛が半分なくなってしまったか・・・。
あれだけの火傷を負って、酷いかさぶたになっておったのだ。一緒に抜けてしまっても仕方あるまい。」
「お前は、それでいいんだ・・・そうだ、其れでいいんだ。」
「どうしたのだ恋次?」
 

-恋次、ありとあらゆることを忘れても構わぬから、この眉と目の色は忘れてくれるな。
記憶の奥底に刻み付けてでも忘れてくれるな。
今と同じ名を名乗るとも限らぬし、私の特徴と言ったら、この眉と目と、貧相な姿くらいだけれども・・・決して忘れてくれるな!!-

 
「そう、お前はそうだったな・・・ちっとも変わっちゃいねぇなんてな。
よくよく思い出せば、性格も考え方も口調も其のままじゃねーか。
何で今までお前のこと思い出せなかったんだろうな・・・。」
懐かしくも熱を持った不思議なもの、其れは・・・記憶の奥底に刻まれた、遠い昔の約束でした。
今の自分では無い、きっと自分の知らない、遠い昔の自分が、この娘と約束した・・・・
「本当にどうしたのだ恋次、変わっちゃいない、とは・・・貴様に会ったのは昨年の秋が最初だぞ。」
「ああ、お前は覚えていねぇのか・・・俺も今思い出したけどよ。
そうだ、俺はお前に言われたんだよ・・・目と、眉と、小柄でも凛とした姿を忘れてくれるな、って。
何だかんだで俺達は2度別れたんだ。
2度目のときにお前が言ったんだ、忘れてくれるな、と。」
「2度目?」
るきが訝しげに恋次を見つめました。
「最初に出会ったときも、2度目も、ジュズダマのお手玉をもっててさ・・・・
最初のときは、お前はエイショウ、とかいう変わった歌を歌ってたな。
お前が言うには、お経みたいなもんだと。
黒い服着て、侍みたいな刀を帯びて、その目みたいな色の・・・一色だけの虹のような光の弧を描いて消えたんだ。
2度目は俺が死んじまったんだけどな、そのエイショウってやつを歌ってさ、お前が助けに来てくれたんだ。
そうしてきっと今が3度目だ。」
「言っていることが理解できぬぞ、恋次・・・・」
るきは本気で恋次を心配し始めていました。
 
「そうだ、最初に出会ったとき、俺はお前に一緒にいてくれと思いを打ち明けたんだ。
けどお前と俺とでは住まう世界が違うと言われて、お前はお前の世界に戻っちまった。
お前は『自分も人として生れ落ちるかもしれない』ということを言っていたけれど、流れる時間も違うから・・・俺に『忘れろ』って言ったんだ。
でも、俺は忘れられねぇままじいさんになって天寿を全うして、それからお前の住まう世界に行って・・・つまりは死んだわけだ。」
るきは、まるで恋次が根も葉もない想像の話をしているのだろうと考えながら、仕方無しに聞いておりました。
「それから、お前の世界に行ってな、じいさんのまま数年過ごしたんだけどよ。
変な化物たちに襲われてな・・・お前が助けに来てくれたんだ。
俺はじいさんになっちまって、お前はちょっとだけ成長した・・・今くらいの姿だ。
お前は俺がじいさんになってても、俺のことを分かってくれたし・・・大怪我を負って助からねぇと分かったときに・・・俺に今度はこう言ったんだぜ、『忘れてくれるな』ってよ。」
「・・・貴様の言っていることが理解できぬ。」
「分からなくても構わねぇ。
とにかくだ、俺はそうやってまた生まれてきて、そんでもってお前と出会った。
前に、俺が嫁を貰わない理由を話したことあったよな。」
「・・・そうだな。」
「俺はずっと待っているヤツがいる、って言ったよな。」
「ああ、そんな事を言っていたな。」
「そのあと、お前に『ずっと此処にいろ』って言ったよな。」
「そうだな、貴様が遂に『待ち人』を諦めて、手近な醜い小娘を適当に嫁にするつもりか、と思って・・・自分で煤を顔に塗ったこともあったな。」
「今なら何でるきにそんなこと言ったのか、るきなら『待ち人』じゃなくても構わねぇって思えたのかあ、成程なと理解できんだ。ある意味当たり前だ。」
恋次は両の手で、がしっとるきの華奢な肩を掴みました。
「・・・るき、お前の本当の名はルキアだ。
そんでもって俺が2度死んでなおもずっと会いたくて待ち続けていたヤツの名も・・・ルキアだ。」
「ルキ・・・ア・・・?」
「そうだ、お前はルキアだ。
・・・確か・・・俺は天女みたいなモンだと思っていたけど、お前は自分のことを『死神』?とか言っていた・・・・」
「死神・・・・」
「お前が何も思い出せないならそれでも構わねぇ。
でも、俺は思い出しても出さなくても、お前を実家に帰すつもりがないのは同じだ。
まだ桜は咲いちゃいねえ。
ルキア、ずっと此処にいろ・・・いや、いてくれ。」
 
「・・・あの時は、母上の形見だというお手玉を分け与えて、私を遠い『あの世』に帰したが・・・今度は山二つ向こうの実家にすら帰すつもりがないのだな。」
「ルキア・・・?」
「しかも最初に出会ったときは、私がお手玉を持っていたのでは無い、貴様が私に母上の形見のお手玉を持たせたのだ。
それを私はずっと手放せずに身につけていて・・・そう、『あの世』で死に面した貴様に一つ、そっと握らせたのだ。
貴様は鉈一つ持って虚三体と無茶な戦いをしたのだ。其れが原因で貴様は・・・・
そうだ、貴様は私のことを『忘れたくない』と言っていた・・・だから私も『忘れてくれるな』と・・・・」
「・・・お前・・・・」
るきは、穏やかな眼差しを恋次に向けました。
「貴様がいう私の本当の名を聞かされて、少しずつ、思い出してきたのだ・・・・」
呆然としながら自分を見つめる恋次から目を逸らし、るきは続けました。
「あの時の恋次も、人として生きているときは山仕事をしていたな。
刺青は入れていなかったような気がするが。
2度目に出会ったときは、もう貴様は死に掛けていて・・・手の施しようが無くて・・・・
私は恋次を忘れることが出来なかった、でも今度こそ恋次は忘れてしまうかもしれない。
だから忘れてほしく無くて、今と同じ紫の目と、半分しかない眉と、貧相な身体しか特徴が無いけれども忘れてくれるな、と・・・・」
るきの大きな目から、ぽろりと1粒、涙が零れ落ちました。
「それからこの世に生まれ落ちて、父上らに拾われて、真っ黒な顔で私の顔を見ても判別などつかないような時に貴様に出会って・・・・」
るきは、恋次に・・・三度出会った中でも一番綺麗な微笑みを見せながら、
 
「貴様は、私がどんな姿になっていても、私をこうやって見つけ出してくれたのだな。」
「ルキア!」
 
 
「おや、桜がやっと咲いたようだ。」
其の日、浮竹の長者様のお庭に植えられた山桜が、漸く一輪開いたそうな。





ジュズダマの花言葉は「恩恵、祈り、成し遂げられる思い」
山桜の花言葉「あなたに微笑む」

3度目の正直で、ようやっと恋次が貫き通した思いは成し遂げられた、んでしょうかね。。。
私だって恋ルキも書けるんだい・・・。
でも兄様が乱入しないのも珍しいかもしれません。敢えてその様に書きましたが。
(桜がちらちら出てきても、山桜を念頭に置いていたので・・・兄様イメージではないですね。)

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プロフィール
HN:
さー
性別:
女性
職業:
多数?の草鞋履き(最近少し減らしました)
趣味:
読書、音楽弾き聴き、きもの、草いじり、料理、・・・あと、かきものとか。
自己紹介:
諸般の事情から「多数の草鞋」を履くことになってしまった私です。
息抜きとして、日々のことや趣味のことも書けたら良いなと思っています。

☆名前について☆
ここでは“さー”を使っていますが、“さー坊”というのも時折使っております。
(メール送信時は、名字まで付いてます。)
どれでもお好きなものでお呼び下さいませ♪
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